@article{oai:ncu.repo.nii.ac.jp:00001207, author = {古山, 萌衣}, journal = {人間文化研究, Studies in Humanities and Cultures}, month = {Jan}, note = {1990年代以降の国際的な教育政策の潮流でもある“Education for All”を理念とした教育開発は、和平成立後のカンボジアにおいても進められてきた。そのなかで、これまで政策課題の中心に据えられてきたのは「基礎教育の普及」であった。しかしながら戦後処理の一環としての障害者支援施策の展開から、幅広い障害者問題への対応・支援が検討されるなかで、障害児教育の推進を含めたインクルーシブ教育の展開も、基礎教育の普及と並行して議論されなければならない教育開発の課題である。そこで本論は、カンボジアにおける障害児教育をテーマとして、基盤となる法整備および政策的展開について整理・分析を行った。 カンボジアにおける障害児教育に関する法的規定は、ようやく整備されたばかりである。具体的には、署名・批准する子どもおよび障害者の権利保障に関する国際人権文書・条約等に沿って、「教育法」および「障害者の権利擁護と促進に関する法律」が制定され、「障害児教育」に関する条文が明記されるに至ったのは2000年代後半のことである。またこれらの法整備とあわせて、「障害児教育に関する政策」が示されたことは、障害児教育推進の契機として、今後の「障害児教育」を含めた“Education for All”およびインクルーシブ教育の実現を目標にした教育開発に対して、積極的な影響を与えるものと期待される。 他方、これらの法整備および政策立案は、DAC(Disability Action Council)が行う障害児教育プロジェクトの計画および実践を後追いする形で進められたといえる。特に先行したDACによる障害児教育に関する活動については、子ども・障害者の権利保障を具体化した取り組みであり、「障害児教育に関する政策」立案の土台を築いたものと評価できる。 しかしながら、障害児教育の推進に関して掲げられた政策理念および政策内容に対して、カンボジアにおける障害者支援および障害児教育の実践は、立ち遅れた状況にある。教育の質の改善を目的とした「チャイルドフレンドリースクール政策」においても、障害児への教育の保障を含むインクルーシブ教育の実現は検討課題として認識される一方で、具体的な取り組み・成果が示されるには至っていない。現在も教育および障害者支援については、財政資金も含めて国際的な援助協力団体に依存する状況にあるが、今後はより主体的な教育開発を目指し、整備された法規定および政策のなかで、いかに具体的な障害児教育およびインクルーシブ教育制度を確立し、実践につなげていくかが課題であることを指摘した。}, pages = {119--130}, title = {カンボジアにおける障害児教育政策の展開}, volume = {25}, year = {2016} }