@article{oai:ncu.repo.nii.ac.jp:00001689, author = {大久保 , 信一}, issue = {1}, journal = {オイコノミカ}, month = {Nov}, note = {本稿では,退職給付による,被用者の離職の抑止と退職への誘引の効果及び採用活動への効果に関する,米国と日本における先行研究をサーベイした.その結果は以下の通りである. 第1に離職の抑止効果は,後払い賃金としての性質を持ち,かつポータビリティの低い確定給付型年金において検証ができるという研究が,日米それぞれで確認された.日本の退職一時金ではこれらに加えて,自発的な離職での支給額の減額による離職抑止の効果が示されている.なお,確定拠出型年金には,離職抑止の効果がないことを前提とした上で,確定給付型年金に代替した場合の影響を観察する研究が見られる. 第2に退職の誘引についても,確定給付型年金での退職給付の効果を認める研究が多くあった.米国では,退職給付の受給額をある年齢で飛躍的に増額させることで,定年退職制度に代わる離職促進効果があると指摘されている.日本では早期退職制度の他,勤続を1年延長することで得られる「純退職金所得」が減少するように退職一時金カーブを設計することで退職を誘引する効果があるとされている.確定拠出型年金では,意図して退職を誘引する効果があるとする研究は両国ともにみられなかったものの,米国では意図せざる退職誘引になりうるとする研究があった. 第3に採用における効果については,米国で人材募集の際の情報発信や採用候補者との雇用条件の交渉時に,退職給付の総報酬に占める割合が高いことを示すことで,コミットメントを有する人材の採用の確度が高まる可能性が示されている.日本では,確定給付型年金が優秀な人材を引き寄せてきたとされる.しかし,退職給付の採用での効果の具体的かつ詳細な検証は,正規社員,非正規社員に関わらず今後の課題といえよう.}, pages = {1--25}, title = {退職給付の離職と採用における効果 : 先行研究のサーベイ}, volume = {53}, year = {2016} }