@article{oai:ncu.repo.nii.ac.jp:00000191, author = {山田, 陽子}, journal = {人間文化研究}, month = {Dec}, note = {本稿では、まず「中国帰国者」の身元引受人制度の創設と身元引受人の活動および役割について述べる。つづいて、身元引受人が中国残留孤児らの日本帰国にどのように関わってきたのか、また「中国帰国者」にとって身元引受人とは、どのような存在であったのか検証を試みたい。「中国帰国者」は、若い人から高齢の人まで年齢差が大きく、日本社会での生活、就労、学校教育に関する相談など身元引受人からの多様な生活面の指導・助言が必要である。身元引受人の任期が満了しても、その期間内に「中国帰国者」が自立できるものではないし、「中国帰国者」との関わりが全く途絶えるわけではない。身元引受人は、地域社会に参入してきた「中国帰国者」の呼び寄せ家族の世話もすることが多い。身元引受人の職務に関して、国の援護対象帰国者とそれ以外の帰国者(たとえば呼び寄せ家族等)に明確な線引きをし、援護対象外だからといって援助を拒むことは困難である。日本社会への適応に苦しむ「中国帰国者」には、分け隔てなく援助の手が差し伸べられるべきである。身元引受人制度は、身元未判明孤児よりも判明孤児の方が、すなわち肉親が見つかった孤児の方が帰国困難になるという皮肉なケースをもたらした。それは身元引受人を斡旋されて帰国できる未判明孤児にひきかえ、判明孤児は日本にいる親族が身元引き受けを拒否した場合には帰国手続きが難航するからである。帰国後の孤児らには、速やかな同化や適応を望む日本社会からの要請がある。そのような日本社会に受容されやすい「中国帰国者」を形成する試みが、身元引受人によってなされたことが本稿で鮮明になった。身元引受人制度は中国残留孤児らの帰国に当たり、帰国そのものをいちじるしく遅延させた面と、身元引受人を付帯させることにより日本社会に参入した残留孤児らの同化・適応を促進させた面の両面がある。中国残留孤児らは身元引受人をとおさなければ日本社会に参入することはできない。すなわち「中国帰国者」にとっての身元引受人は日本社会に入るための扉であり、同化・適応を促進させる触媒として機能してきたことが明らかになった。}, pages = {99--111}, title = {「中国帰国者」と身元引受人制度 : 中国残留孤児の日本への帰国をめぐって}, volume = {8}, year = {2007} }