@article{oai:ncu.repo.nii.ac.jp:00000293, author = {山田, 和夫}, journal = {人間文化研究}, month = {Jun}, note = {ラフカディオ・ハーンは『チータ』執筆の過程で、大自然の猛威から文明の力で子供を庇護する養母のテーマを発見する。マルティニーク渡航直後のハーンは、亜熱帯の自然を妖艶な魅惑と感じたが、次第に自然は必ずしも桃源郷ではなく実母のような生産力と破壊力を兼備することに気づく。ハーンにとって自然は、妖艶な魅惑から破壊力を秘めた不可知なものに変化した。不可知的自然は人知を越えた世界という意味で文明の狭い価値観からの解放ではある。だが一方で不可知的自然の驚異に対抗できる文明の庇護をハーンは模索し、養母のテーマへ辿り着く。ハーンの自然・文明観では、実母は自然を、養母は自然と折り合う文明を象徴している。彼は自然から乖離した大都市には魅力を感じなかったが、自然観に関してはファムファタル的な妖艶な自然観から、スペンサー的な不可知の自然観を形成するに至った。また可知界の外側で不可知界のエネルギーは永続するという輪廻思想の原型を持つようになる。反面スペンサーの文明序列化に対し、彼は常に異文化への暖かい視線を持っていた。ハーンのこの自然観の変化と養母のテーマの発見は同時期に起こっており、『チータ』は彼が文明から自然への逃走に区切りをつけ、文明への回帰に向かう契機となった作品と言える。}, pages = {97--113}, title = {ラフカディオ・ハーンの『チータ』に見られる自然と文明の関係}, volume = {13}, year = {2010} }