@article{oai:ncu.repo.nii.ac.jp:00000300, author = {野田, いおり}, journal = {人間文化研究}, month = {Feb}, note = {本論文は、ギュスターヴ・フロベール(Gustave Flaubert)の『ボヴァリー夫人』(Madame Bovary)を取り上げ、主人公エンマの「男性化」する姿に着目しながら『ボヴァリー夫人』の再読を試みるものである。その際、エンマが「男性化」する時の条件、心象構造などを考察しながら、エンマに男性的な側面を与えたフロベールの意図を探り、主人公であるエンマの淪落の人生に、自我の目覚めと社会への反発の萌芽を見いだすことを目的としている。なお、本論文で使用した「男性化」とは、女であるエンマが、男のように振る舞うことであり、男を想起させる身体描写、言動も「男性化」と定義した。また、ここで言う「男」とは、一般的に用いられる「男らしさ」に属する特性のことを指している。エンマの男性化には、自由の象徴、あるいは社会規範への反抗の萌芽という能動的な側面がある一方で、男性優位社会の歪んだジェンダー構造の受容という受動的な意味もあると考えられる。この二つの男性化は異質のものである。前者は自己解放であり、後者は自己否定という矛盾と両義性を持ち合わせている。エンマの男性化は、『ボヴァリー夫人』が出版された1857年当時の社会が抱えるジェンダー的諸問題を表象するものであり、この相反する二重構造は、自己解放を願った一人の女の人生における葛藤を体現したものであると言えるのではないだろうか。}, pages = {37--53}, title = {『ボヴァリー夫人』をめぐる一考察 : 「男性化」するエンマに焦点をあてて}, volume = {14}, year = {2011} }