@article{oai:ncu.repo.nii.ac.jp:00000317, author = {野田, いおり}, journal = {人間文化研究}, month = {Jun}, note = {本論文の目的は、自由主義思想を背景に成立し、ブルジョアの政権とも称されるフランス七月王政期に、ボルドーの貸本屋が、地域の教会や商業会議所、地方政治家たちと、いかなる関連を持ち、都市空間の中にどのように位置づけられていたかを解明することである。ボルドーはフランス南西部に位置する港湾都市である。ボルドーには、自由闊達な独特の商人文化があり、パリとは異なるボルドー独自の都市空間が形成されていた。現在まで研究対象となることがほとんどなかったボルドーの貸本屋に焦点をあてることは、すでに都市空間での役割が検討されているパリの貸本屋との相違を明らかにし、貸本屋研究に新しい視座を提供する材料となりうるだろう。パリの貸本屋が、最先端の知識の獲得が可能で、かつ公論の形成の場でもあり、しかも反体制的世論が形成される政治文化的公共性を内包していたことと比較すると、ボルドーの貸本屋は、体制順応型であるといえる。市民に初等教育を施していた教会との関係においては、その機能を補完する媒介者として、また、エリートたちとの関係においては、自由主義思想に基づいた政治の協力者として都市社会の中に位置づけられる。また、実用的な教育的書物を媒介として、エリートたちと市民をむすびつけ、都市全体を啓蒙する役割を果たしていた。そもそも、ボルドーの指導層自体が自由主義的であったため、七月王政期のボルドーの貸本屋は、保守的かつ啓蒙的な枠内ではあるが、指導者層の思索を伝達するための肯定的、積極的な役割を果たしている。つまり、七月王政期のボルドーの貸本屋は、都市における知の受容と伝播の拠点だったのである。}, pages = {1--16}, title = {七月王政期におけるボルドーの貸本屋 : 都市空間における貸本屋分析を通して}, volume = {15}, year = {2011} }