@article{oai:ncu.repo.nii.ac.jp:00000328, author = {Tsuchiya, Masahiko and 土屋, 勝彦}, journal = {人間文化研究}, month = {Jun}, note = {オーストリアの現代女性作家ミッシュクルニクの代表作『抱擁』におけるアイデンティティ探求のあり方を、主人公と登場人物との関係およびその行動形式の観点から考察した。本小説は、文芸評論家の語り手ichと語り手が創り出す自我アガーテ、そしてLMという作家自身のイニシャルを持った作家が登場し、これら3つの自我がアイデンティティをめぐって葛藤し融合し錯綜していく、つまり名づけるものと名づけられるものとの境界を越え出て、分裂した主体の構想と知覚、認識、現実描写がそれぞれに語られていくという構造を持った、ポストモダン的なアイデンティティ探求の小説である。語られる現実も夢、幻想と交錯し、溶け合い新たな知覚や認識を志向しながら、結局は秩序を創造することができず、アイデンティティ形成について信頼できるリアリティをも構築できないことが明かされていく。いわば形象の概念の乖離を描いた小説とも呼ぶことができるが、そこに見られるアイデンティティとは、身体と振る舞いとの亀裂によって規定され、分身的な他者の行動形式によって媒介され構造化される。そこにトランスパーソナルな自我が現れるのである。}, pages = {169--177}, title = {Identitatssuche in Lydia Mischkulnigs Roman "Umarmung"}, volume = {15}, year = {2011} }