@article{oai:ncu.repo.nii.ac.jp:00000334, author = {野田, いおり}, journal = {人間文化研究}, month = {Dec}, note = {本論文では、ギュスターヴ・フロベールの『ボヴァリー夫人』を取り上げ、同作品の社会背景である七月王政期の女子教育に焦点をあててテクストを考察し、『ボヴァリー夫人』に描かれたジェンダー構造を検討する。『ボヴァリー夫人』という作られた話を、女子教育という実際の社会環境を考慮に入れて考察する本稿の試みは、文学も歴史的負荷を負うものであり、無意識的に受容される文化や社会規範から切り離されるべきではないという筆者の立場を前提としている。七月王政期の女子教育は、保守性と積極性という両義性を持ち合わせている。つまり、七月王政期の女子教育は、男性優位社会を補強する一方で、女性の自立を促進するというアンビバレントなものである。一方、『ボヴァリー夫人』の主人公であるエンマ自身も、家父長的で保守的なブルジョア社会に順応したいと望みつつも、自分の内的欲求をかなえるため、自ら考え、自らの意志で目標を達成したいと願うような、相反する価値観を持つ女であった。エンマの性格と七月王政期の女子教育に着目して『ボヴァリー夫人』を再読すると、アンビバレントな性格の持ち主が、両義的価値を持つ七月王政期の女子教育を受け、それによって自我が芽生えた時から不幸が始まるイロニックな物語という新たな読み方を提案することが出来る。すなわち、『ボヴァリー夫人』は、一義的ではない七月王政期のジェンダー構造を背景として、そのジェンダー構造に挑戦し、失敗した一人の女の人生の物語といえるのである。}, pages = {41--54}, title = {『ボヴァリー夫人』に描かれたジェンダー構造の再検討 : 七月王政期の女子教育に焦点をあてて}, volume = {16}, year = {2011} }